秋の天皇賞ほどデータが通用するレースはない。 牝馬の連対なしというデータを打ち破ったエアグルーヴを除けば、悉くそう言えるレースだ。 だが、今年の天皇賞はちょっと風向きが違う。 なぜなら、データによるとすべての出走馬が消えてしまうからだ。
今年の大本命馬、サイレンススズカの消去事由は、過去13年間に１番人気馬と逃げ馬の勝利なしというデータ。 過去10年の１番人気の成績は[０３１６]。 サクラローレル、ナリタブライアン、ビワハヤヒデ、ライスシャワー、トウカイテイオー、降着のメジロマックイーンからオグリキャップまで。 よくもこれだけの名馬が雁首を並べて連を外したものだ。 だが、これらの馬には故障、不利、休養明け、距離不足などそれぞれに説明のつく敗因があるのも事実。 不可思議な惨敗と断じるわけにはいかない。 逆に連対した３回のうち、２回は出走頭数14頭以下の天皇賞としては少頭数のレース。 連対を外したビワハヤヒデはレース中の故障によるもので、まぎれがなければ力通りの決着が見込めるようだ。 その点、今年は12頭立てであり、１番人気が連対できる年だ。
次に逃げという脚質。 平成２年の前半５ハロンが58秒２で、この年のヤエノムテキの勝ちタイムが、東京2000�bのレコードになっている。 サイレンススズカの1000�b通過ラップが、宝塚記念(2200�b)が58秒６、金鯱賞(2000�b)が58秒１、毎日王冠(1800�b)が57秒７。 天皇賞ではほぼ58秒前半で逃げると思われる。 仮にサイレンススズカが平成２年と同じペースで逃げた場合、後半５ハロンを60秒で行けばレコードになる。 これよりも速いラップを刻んだ毎日王冠では、後半４ハロンを47秒２でまとめている。 そのタイムで１ハロン伸びる天皇賞を走っても、12秒８でラスト締めればタイレコード。 脚の上がった宝塚記念でも12秒３だから、いつものペースでレコード勝ちという計算になる。 これはあくまで机上の空論だが、サイレンススズカに限れば逃げ脚質も消しの材料になるまい。
今週は長々とデータと時計の換算をしたが、問答無用の快速の逃げ馬、サイレンススズカには意味のないことだったかもしれない。 ミホノブルボンと同じく、ハイペースで逃げて後続の脚を封じるレース振りは、最強馬の戦法なのだろう。 名馬が敗れる秋の天皇賞だが、今年は速さは強さというサイレンススズカの勝利を確信する。
相手にはステイゴールド。ハイペースになれば、しぶといステイヤーが粘りを発揮する。 ３番手に岡部グルメフロンティア。2000�b巧者で、人気薄Ｇ�T馬の意地を見せて欲しい。 以下、シルクジャスティス、メジロブライト。


想定時の結論
◎サイレンススズカ ○ステイゴールド ▲グルメフロンティア △シルクジャスティス △メジロブライト △サンライズフラッグ